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第4章

41 倍から暴落へ ― 買っていたのは誰か

Raydium プールが作られたあと、誰が swap で SANAET を買い、価格がどう動き、3 月 2 日の暴落時に何が起きたかをオンチェーンの記録からたどります。

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第3章までで、SANAET は発行され Raydium に流動性が供給されました。この章では、その リクイディティプールを通じて誰が・いつ・どれだけ取引したかを、オンチェーンの記録に沿ってたどります。

運営が直接配ったトークンは、エアドロップ先 45 ウォレットなど限られたアドレスにとどまりました。一般の参加者が SANAET を手に入れた主な経路は、DEX(分散型取引所)での swap(交換)だけです。つまり市場に出回った分は、ほぼすべてこのプールでの売買によるものです。

2 月 25 日 ― 開始 1 分で殺到した買い

プールが作られたのは 2 月 25 日 18:00 JST前後です。作成から数分以内に swap が始まり、ローンチ直後の約 2 時間だけでおよそ 4,800 万枚が買い方向に動きました。

最も早い大口の買いは 18:01 JST — プール作成の約 1 分後です。単一の取引で約 715 万枚を購入したウォレットがあり、続けて 18:02〜18:03 にも 600 万枚前後の買いが続きました。いずれも運営側のウォレットではなく、取引所から SOL を出金してローンチを狙った独立した参加者(スナイパー)とみられるアドレスです。

この日のプール関連トランザクションは 2,311 件でした。価格は公称の初期価格から大きく上昇し、日足ではピーク 約 $0.028で公称初期比 約 41 倍まで達しています。

2 月 26 日〜3 月 1 日 ― 値上がりと過熱

ローンチ翌日の 2 月 26 日は、プールの取引件数が 4,130 件とさらに増え、騒動のピーク期に入ります。 2 月 27 日は 1,679 件、2 月 28 日は 383 件、3 月 1 日は 395 件で、上昇トレンドのなかでも日ごとに熱量は変動しています。

ローンチ直後の大口 buyer の一部は、買ってから 20 分〜数時間以内に売り始めています(ローンチ・フリップ — 急騰中の利確)。例えば 715 万枚を 18:01 に買ったウォレットは 18:21、買いの約 20 分後から売却を開始し、当日中に買いの約 19% を売っています。運営の組織的な売り抜けとは別の、一般トレーダーの動きです。

3 月 2 日 ― 一日で価格が崩れた

3 月 2 日、オンチェーンの日足では価格がピークから 約 −79% 下落しました(高値 $0.018 → 安値 $0.0058、終値 $0.0084)。この日のプール取引件数は 7,649 件と、それまでのどの日より突出しています。

運営が公表した補償スナップショット 1 の時刻の直後 10〜20 分には、 系とみられる取引が 約 5,586 件集中しました。価格が底圏に落ちたあとの裁定取引(アービトラージ)が主因です。運営がスナップショット時刻に合わせて相場を動かした、といった痕跡は確認されていません。

日別のプール取引件数2/25〜3/2
  • 2/25
    2,311
  • 2/26
    4,130
  • 2/27
    1,679
  • 2/28
    383
  • 3/1
    395
  • 3/2
    7,649暴落

買っていたのは誰だったのか

プール作成(2/25 18:00 JST)以降の取引履歴 23,085 件を解析し、swap の買い方向に分類した結果、ユニークな buyer は 1,546 ウォレット、買い合計はおよそ 1.03 億枚でした。

買っていたのは誰か買い量の割合
  • 一般トレーダー1,533 ウォレット97.6%
  • bot / MEV13 ウォレット2.4%
  • 運営系ウォレットプールでの買いは 0 件0%

運営系ウォレット ― Creator・分配ウォレット・チーム枠・エアドロップ先 45 ウォレットのいずれにも、プールでの買いは確認されませんでした。

その資金はどこから来たのか

1,546 buyer すべてについて、初回購入前の SOL 入金元を追跡した結果、運営関連ウォレットから直接 SOL が流れたケースは 0 件でした。

買い手の資金はどこから来たかbuyer 数の割合
  • 取引所(CEX)ホット経由779 buyer・買い量の 49.1%50.4%
  • 非 CEX の個別アドレス505 buyer32.7%
  • 資金源 不明262 buyer16.9%

この章でわかったこと

  • 一般参加者が SANAET を得た経路はほぼ DEX の swap のみ。ローンチ直後から大口(スナイパー)の買いが殺到し、価格は公称初期の約 41 倍まで上昇した。
  • 3 月 2 日に一日で約 −79% 暴落。bot / MEV の裁定取引が集中したが、運営が相場を操作した痕跡は確認されていない。
  • buyer は 1,546 ウォレットで 97.6% が一般。運営系ウォレットのプール買いは 0 件で、暴落前の大量売却も確認されていない。
  • ただし買い量の約半数は取引所(CEX)経由で、運営が取引所口座から買った可能性はオンチェーンでは原理的に追跡できない。

次章「消えた 9 割」では、配られた供給の大半が回収され、焼却されるまでを追います。